善と悪、これは人類の永遠のテーマともいえる問題で、何が善で何が悪なのか具体的に言うのは結構難しかったりします。
認知機能の弱い境界知能だと何がよくて悪いのか想像するのが苦手です。
自身にとって良かれと思ってやったことでも、他人の視点から見たら悪いことだと判断されるのが日常でよくあると思いますが、境界知能だとなにが悪かったのか根本的理由が理解できない場合が多いです。
善悪の区別がうまくできないのには、物事を客観視する能力が欠けている場合があり、これには知的統合能力が関わっている可能性があります。
知的統合能力とは
物事を図式化して考える、物事のベースにある構造や関係を把握する力が知的統合能力です。
これが弱いと物事の全体の構図が見えず、主観的な視点にとらわれてしまい、客観的に物事を俯瞰することが難しくなります。
ある意味、客観視ができないと善悪の判別がつかないのも納得できます。
善悪の判別ができなかった当事者が起こした事件
ケーキの切れない非行少年や境界知能の子どもたちといった書籍を読むと、サイコパスの様な理解不能な犯罪をする人間には境界知能や軽度知的障害の特徴がある人がそれなりに含まれていたとのことです。
各書籍に書かれていた事件を出来るだけ簡潔にまとめて書きます。
2014年神戸市長田区小1女児殺害事件
詳細
小学1年生の女児が帰宅中に行方不明になり、近くの雑木林で遺体がビニール袋に入れられた状態で発見
引用元:ケーキの切れない非行少年たち どうしてそんなことをするのか理解不能な人々犯人について
- ビニール袋には診察券が入っていた(これが証拠となる)
- 陸上自衛隊で勤務
- 大型一種免許や特殊車両免許を持っていた
- 軽度知的障害者だった
2019年11月 羽田空港のトイレで赤ちゃんを産み落とし、直後に殺害
Kさんの生い立ち
- 小学生の頃から授業についていけない
- 母親からよく叱責された
- どちらかというと大人しい子供だった
- 大学に進学後、 ハワイで短期間の職場体験を経験した
- 就職活動では航空 業界やホテル業界や中心に 就職試験を受けた
- 企業に提出する エントリーシートに質問の意味がわからず 空欄にばかりになった
- 就職活動しながら臨月の身だった
- 両親とは関係が崩れるのが怖くて相談できなかった
事件の詳細
- 赤ちゃんを殺害後、カフェに向かう
- 東京都港区の公園に移動
- 素手で穴を掘り遺体を埋める
- 翌日就職面接を受ける
引用元:境界知能の子どもたち 気づかれない境界知能だった K さん裁判中では
- 後先を考えて行動するのが苦手
- 自首やあやめるといった言葉が理解できない
- 身勝手で短絡的
判決文には
- 懲役5年の判決
- 知的能力は低いとはいえ正常範囲内で大きな問題はない
神戸市の方は軽度知的障害者、羽田空港の事件はIQ74程度の境界知能で、犯人には知能に何らかの問題があることが共通しています。
知能が低いから必ず犯罪を起こすというのは決してありませんが、恐らく犯人たちは対人関係につまづきにより協調性や思いやりなどのコミュニケーション力が向上できず、突発的な行動 を繰り返して常識が通じない身勝手な人間に変わってしまった可能性があります。
なぜ身勝手で短絡的になってしまうのか
境界知能・軽度知的障害の共通点に身勝手で短絡的というのが必ず挙げられます。
なぜそうなったかというと原因がかなり多くあり、現代の社会問題にも当てはまります。
こういった要因が重なると主観的な視点にとらわれていき、物事を客観的にみる能力が失われ自分勝手な思考に陥ってしまいます。
しかし裏を返せば上記の問題がどうにか解決または支援が出来ていたら、自分や周囲を見渡す範囲が広がり、他者がどんな目で見ているかを理解できるようになると自分がどんな人間か理解もできるようになります。
自分がどんな人間か理解したとき、物事や自分自身を客観視する知的統合能力に磨きがかかり、善悪の判別もできるようになります。
まとめ 早いうちに気付く事
善悪を区別し判断していくには、物事を客観視する知的統合能力を上げる必要があります。
それには自分がどんな人間なのか、他者がどんな目で見られているのか把握しなければなりませんが、生き辛い境遇になる境界知能は主観的視点に陥りがちなのがほとんどです。
出来る事なら短絡的思考になる前に家庭や学校などで支援を受けた方が、悪人に利用されたり自ら悪事を行う可能性を下げることにつながります。