知的障害
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ケーキを切れない非行少年たち、感想 数十年前の自分を思い出した

結論から

知的障害や境界知能を持つ人、支援者の方は是非とも一読してほしい本です。

少年院に入った少年たちがなぜ犯罪に至った経緯と根本的な原因を知ることができるからです。

著者の宮口幸司さんは少年院で、数々の非行少年たちを見て、知的や境界知能に該当する人が多かったらしく、極論で言えば、知的・発達障害を持ってる人ほど過ちを犯す確率が高いという立証をされています。

理由としては、”簡単な足し算ができない” ”感じが読めない” などの読み書きする能力が低く、これが原因で話しの聞き間違え人間関係がこじれてしまい、イジメにつながる事があるからです。

結果、劣等感が強くなり非行に走る少年が出てきます。 小説だとハードル高い人は漫画版の方をおススメします。

実際私も漫画の方が胸に来るものがありました。

この本を通して、知ってほしいことをお伝えします。

目次
  • 第1章 「反省以前」の子供たち
  • 第2章 「僕は優しい人間です」と答える殺人少年
  • 第3章 非行少年の共通する特徴
  • 第4章 気付かれない子供たち
  • 第5章 忘れられた人々
  • 第6章 誉める教育だけでは問題を解決しない
  • 第7章 ではどうすれば? 1日5分で日本を変える

非行少年たちの共通点

非行少年たちはケーキを三等分にできないのは認知力、人の話を聞いて理解する能力が非常に低く、私も間違いなくそれに該当するものだったので納得しました。

  • 認知機能の弱さ
  • 感情統制の弱さ
  • 融通の利かなさ
  • 不適切な自己評価
  • 対人スキルの乏しさ
  • 身体的不器用さ

特に対人スキルが低く、身体的な不器用さが目立つと学生時代は友達に恵まれず孤立する事が多いらしいです。

マンガ版の非行少年たちは、周りと溶けこむことができず孤独な少年期を送り、その反動で非行に走ってしまいました。

私も非行に及ぶまではいかなかったとはいえ、友達が作れず身体の使い方が不器用で好奇な目で見られることが多くて、悔しさと不満を毎日溜め込んでいました。

上記のポイントが一つでもあると、生き辛くなるのが境界知能(軽度知的障害)の特徴にして共通点です。

マンガ版は過去の自分を見ているようで、本当に悲しい

主人公は六麦克彦という精神科の医師で、彼の診る患者が少年院にいる少年少女たちで、一人ひとりの過去、境遇は私自身に非常に似通っていました。

例えばある少年は非行を繰り返した挙句、少年院に送致され、軽度知的障害を持っていたことが判明しました。

本人の虐待があったりしてかなり悲惨でしたが、知的障害があったことが拍車をかけ余計に社会への適応が難しくなり、結果的に殺人までに至り刑務所に入る結末となりました。

この元少年は少年院を出る時はちゃんと更生したと思うでしょうが、知的なハンディキャップを持っていたため、仕事の物覚えが悪くひどい時には上司に罵声を浴びせられました。

私も上司にダメ出しを何回かされ、罵られる毎日を送ったことがあり、この元少年の辛さは痛いほど共感しましたし、意図せず再び非行に及ぶ描写には愕然するしかありませんでした。

社会が境界知能者に対して冷たすぎる

「ケーキの切れない非行少年たち」を読むと、非行少年がなぜ問題を起こすのか、その背景を知ることができます。

主人公の六麦克彦は、「今の社会は境界知能(軽度知的障害)の人に冷たすぎる」との見解を述べていました。

日本社会は先進国で環境を整える高い技術を持っているにもかかわらず、1700万人以上もいる境界知能への配慮が不十分で、世間も「頭の悪い使えない人」と思っているようです。 

漫画版はその描写が顕著でここまでするのかとさえ思えました。

当たり前ですが、犯罪は決して許されません。

しかし元少年が、犯罪を起こした直後「結局俺は何も変われなかった、普通の正しい人間になれなかった」と絶望した表情には、ほんとに胸にくるものがありました。